開咬を自分で治すには?オープンバイトを放置するリスクや原因を徹底解説します

歯科医院に通わず自分で歯並びを改善する方法があるなら「自分でやってみようかな」と考える方も多いでしょう。歯列矯正は費用や時間がかかってしまい、誰でも気軽に受けられる治療とはいえないでしょう。
しかし、前歯が噛み合っていない開咬は自分で治せるのでしょうか。ネット上の情報を鵜呑みにしてしまい、失敗したというケースもあります。
今回は、開咬を改善させる方法について解説します。そのままにしておくリスクや開咬になってしまう原因についても徹底解説するので、開咬でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
Contents
開咬とは?
開咬とは、奥歯を噛み合わせたときに前歯が噛み合わない(隙間ができる)状態の噛み合わせのことです。歯科では「オープンバイト」とも呼ばれています。開咬は見た目の問題だけでなく、前歯で食べ物が噛み切れないため、食事面でも不便を感じることが多い噛み合わせです。前歯で噛み切れないと、奥歯に負担がかかりすぎたり、顎の筋肉や関節に影響をおよぼしたりすこともあるでしょう。
開咬を自分で治す方法
開咬の改善には、歯科医院で適切な治療を受ける必要があり、自分で歯を動かしたり噛み合わせを変えたりすることはできません。ネット上では「割りばしや輪ゴムを使って不正咬合を改善できる」という情報が散見されますが、専門知識のない方が歯に力を加えるのは大変危険です。症状が悪化してしまう可能性もあるため、必ず歯科医院で治療を受けるようにしましょう。
開咬を放置するリスク5つ
自分で見た目が気にならなければ、そのままでもよいと考える方も多いですが、開咬は放置してしまうと、さまざまな面で悪影響をおよぼしてしまう噛み合わせです。症状がひどくなる前に、一度歯科医院で診断を受けるようにしましょう。
開咬を放置するリスクには、以下のような5つが挙げられます。
- 奥歯に負担がかかる
- 口呼吸により、さらに開咬が進む
- 口呼吸により、虫歯や歯周病のリスクが上がる
- 胃腸に負担がかかる
- 顎関節症になりやすい
では、開咬を放置するリスクについてくわしく解説します。
①奥歯に負担がかかる
開咬は、前歯に隙間があり食べ物を噛んだり噛み切ったりすることができません。全ての歯が噛み合っている場合には咬合力は分散されますが、奥歯しか噛み合っていないと奥歯に過剰な負担をかけてしまいます。奥歯が休まることがないため、すり減ったり歯が割れる可能性が高くなり、他の歯に比べて寿命が短くなってしまうでしょう。負担がかかり続けた奥歯は、20代や30代で失ってしまうことも珍しくありません。
②口呼吸により、さらに開咬が進む
開咬よって引き起こされた舌の癖で開咬がさらに悪化するケースがあります。本来であれば、舌はスポットポジション(上顎の前歯の後方のくぼみ)に舌先がついた状態で収まっているのが理想的ですが、開咬の状態では舌が上下の前歯の間に挟まりやすく、開咬がどんどん進んでしまう可能性があるでしょう。
③口呼吸により、虫歯や歯周病のリスクが上がる
口呼吸を続けていると、口のなかが乾燥するため虫歯や歯周病のリスクが上がってしまいます。口の中ではだ液が抗菌作用を持っており、潤っている状態ではだ液の成分が活発に働いています。しかし、口のなかが乾燥してだ液の分泌量が減ってしまうと、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病が進行してしまいます。
④胃腸に負担がかかる
重度の開咬では、前歯だけでなく奥歯さえもうまく噛み合っていないこともあります。食べ物をしっかりと咀嚼できないため、よく噛まれていない状態の食べ物が胃へ運ばれます。すると、消化吸収に時間がかかってしまい、胃腸が休むことなく働き続けてしまうので負担がかかり消化不良を引き起こすこともあるでしょう。
⑤顎関節症になりやすい
開咬では、奥歯でしか噛めないため、顎の関節に過度な負担がかかってしまいます。開咬の状態では顎の使いすぎや不自然な咬合高径(鼻の下から顎の先端までの距離)のため。顎関節症になってしまう可能性が高くなります。顎関節症とは、顎を動かしたときに耳の前付近の顎関節頭部分で「音が鳴る」「顎が痛い」などの症状が起こり、場合によっては口が開きにくくなるといった症状がある顎の病気です。
顎関節症は歯並びや噛み合わせが原因で発症してしまうケースも多いため、併発してしまう前に噛み合わせの矯正を行うのが望ましいでしょう。大学病院などの口腔外科での治療が必要になるケースもあるので、まずは一般歯科で相談してみましょう。
開咬になってしまう3つの原因
開咬は生まれつきの先天的な要因もあれば、日ごろの習慣や癖など後天的なものが要因の場合もあります。先天的なものは予防できないですが、後天的なものが要因の場合は、少しの意識で改善できるケースもあります。
開咬になってしまう原因は、主に以下の3つが挙げられます。
- 遺伝的により骨格に問題がある
- 悪い癖で歯を押し出している
- 口呼吸である
では、それぞれの原因について、くわしく解説します。
①遺伝的により骨格に問題があるから
開咬の原因のひとつに、遺伝で骨格に問題がある場合が挙げられます。下顎骨の成長方向が悪かったりうまく成長しなかったりする場合、また上顎骨後方部が下方向へ異常な形で成長してしまった場合に開咬となります。両親のどちらかが開咬の場合や、親族に開咬の方がいる場合には遺伝が原因の開咬となる可能性があります。
②悪い癖で歯を押し出しているから
幼い頃の指しゃぶりや、舌の位置が悪く歯を押す癖がある方は、開咬になりやすいといわれています。指しゃぶりなどで歯に圧力がかかることによって上下の前歯が伸び切らなかったり、また飲み込む際に舌を歯の隙間から出す癖がついて、前歯を傾斜させてしまったりすることが原因です。舌癖は自覚するのが難しく、歯科医院で口のなかを確認してもらってはじめて気づく方も多いです。医院で専門のトレーニングを受けて、舌癖の改善を図る必要があります。
③口呼吸であるから
鼻詰まりやアレルギーを持っている方は口呼吸になりやすく、開咬や出っ歯、受け口になるケースがあります。口呼吸の状態では唇から歯にかかる力が弱くなるためバクシネーターメカニズム(歯の外側と内側の力が拮抗して歯列の形態を維持すること)が崩れてしまい、歯並びや噛み合わせに影響をおよぼしてしまいます。
口呼吸はデメリットばかりで、よいことはありません。口内の健康を害してばかりなので、まずは口呼吸をやめることがとても大切です。
開咬の3つの治療方法
開咬の改善は歯並びや噛み合わせを整えるだけでなく、原因や顎の形態によって最適な治療方法を選ぶ必要があります。歯列矯正だけで十分な改善が見込める場合もあれば、外科的処置が必要な場合もあるでしょう。
開咬の治療方法は、以下のような3つが挙げられます。
- 前歯を伸ばす方法
- 顎の骨の位置を動かす方法
- 奥歯を圧下する方法
では、開咬を改善させる治療方法について解説します。どの治療方法を受けるかは、医師とよく相談するようにしましょう。
①前歯を伸ばす方法
噛み合っていない上下の前歯を矯正治療で挺出(伸ばす)して噛み合わせる方法があります。上下の歯に歯列矯正の装置を取り付けて、きちんと噛み合うように歯を動かしていきます。歯列矯正で対応できるため、大がかりな手術などを受ける必要はありません。
しかし、歯列矯正などで歯列を整えても、舌で歯を押してしまう癖が改善されていないと、再び歯列が乱れてしまいます。そのため、歯列矯正と同時にMFT(舌癖を改善するトレーニング)を受ける必要があるでしょう。自宅でも行える方法があるので、医院で指導してもらうとよいでしょう。
②顎の骨の位置を動かす方法
他には、顎の骨を切って前歯が噛み合う位置で骨を固定させる方法があります。下顎が大きく成長しすぎている場合もあれば、上顎が下方向へ過剰に成長している場合もあります。症例にあわせた適切な方法で骨を切り落とし、骨格のバランスを取ることによって噛み合わせの改善を図ります。
ただし、全身麻酔をする外科手術を受ける必要があり、抵抗のある方は難しい治療といえます。また、服用している薬や持病などによって、外科手術ができないケースもあるため、手術前に医師へ必ず伝えておくようにしましょう。伝え忘れがあると、手術中にトラブルが発生する可能性も考えられるので注意が必要です。
③奥歯を圧下する方法
前歯を伸ばす方法では十分な改善が見込めない場合や、適切ではない場合、奥歯を圧下させる方法があります。また、症例によっては前歯の挺出と奥歯の圧下を同時に行うこともあります。従来のワイヤー矯正では奥歯の圧下が難しいといわれていますが、インプラント矯正を併用したり、圧下が得意なマウスピース矯正を適用させたりすることで、スムーズな治療が可能です。
インプラント矯正は、顎の骨に小さなネジを打ち込んで、ネジを固定源に歯を動かす矯正方法です。簡易的な外科処置ではありますが、抵抗がある方は難しいかもしれません。その場合は、透明のマウスピースを用いるマウスピース矯正で対応する方法もあるでしょう。どちらの方法が適切か、医師とよく相談のうえで決定するようにしましょう。
まとめ
開咬の原因や治療方法について解説しました。開咬は自分で治すのは難しく、歯科医院で専門の知識を有する医師へ治療を任せることが大切です。そのままにしておくと、全身へさまざまな影響をおよぼす可能性もあるため、気になる症状があれば診察を受けてみましょう。
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著者:谷木俊夫